対象となる方

 

 

触るグリフはディスレクシア(発達性読み書き障害)知的障害など、多くの「読み書き」を苦手とする児童・大人にご利用いただいています。

「見ながら触れて音読」する触読学習で、文字のカタチ(字形)と、文字列の記憶形成を促します。また文字列の触覚刺激を認知的な手がかりとして文字と音(読み方)の連合記憶形成を促します。

触るグリフの一連の機能は、読み書きに必要な「音と文字の結びつき(decoding)」「字形の記憶イメージ形成」「単語としての一纏め認知」「読みの自動化の促進」「数字に紐づく数量イメージの形成」を促します。その一方で注意機能、実行機能、全般的知能には影響を及ぼさないなど限界もあります。

触るグリフの機能に照らし合わせて、対象となる方について説明したいと思います。

今まで、どのような方がご利用されてきたかは「触るグリフ実施体験談」を参考にしてください。

 

読みに問題を抱える子供(大人)

・読みがスムーズではない(逐次読み,読みの遅さなど)

・読みに負担を感じる(易疲労性)

・読み間違いや読み飛ばしが多い(拗音,促音など)

・年齢相応の読みの水準に達していない

 

触るグリフは元々は「読み」の改善を目的に作られた教材です。見ながら触れて音読する段階的な学習で「字形の記憶」「字形と音(読み)との連合記憶」「単語の一纏め記憶」の順に記憶形成していき、読みの流暢性と自動化を促します。読みが苦手な児童や大人の方の逐次読みなどの改善や、読みに伴う負担の軽減が報告されています。日本語の「標準版シート」もしくは「小学1年生版のシート」から初めて、読みの「自動化シート」の流れでの実施を推奨しています。

 

文字の記憶(記名・想起)に困難を抱える子供(大人)

・カタカナなど文字が記憶定着しない。

・漢字を繰り返し書いても記憶定着しない。

・文字が鏡文字として想起される。

・字形が思い出せずに文字が崩れる

・年齢相応の文字修得の水準に達していない

 

立体化された文字に見ながら触れる事で、字形記憶の形成と精緻化を促します。カタカナなどが定着しない。また漢字などが何度書いても忘れる場合などは、触れて字形を覚える方法が有効です。さらに字形の触覚刺激を利用して鏡映文字の修正学習なども可能です。日本語の「標準版シート」もしくは「小学1年生版のシート」から初めて漢字シート(小学2年~3年3年~4年4年単体5年~6年)の流れでの実施を推奨しています。

 

英単語の記憶や英文の読みに困難を抱える子供(大人)

・英単語を繰り返し書いても覚えられない

・英単語のスペルを間違える

・英文を読むのが苦手で頭に入らない

・英文を読むと疲れる

 

英語は「文字と単語の読み方」の関係性が複雑な言語です。英単語を覚える認知的な負担は大きく、ディスレクシア特性がある場合などは、何度書いても英単語が覚えられなかったり、多くのスペルミスが生じます。触るグリフでは、手で触れる触覚刺激を介して、英語のスペルと読み方(音)の対応関係を記憶定着させていきます。単語が覚えやすくなります。読む時はスムーズに読みやすくなります。スペルと読みを学ぶ「フォニックス版シート」から始めて、汎化を促す「英単語記憶定着シート」の流れでの実施を推奨しています。

 

算数の基本概念に問題を抱える子供(大人)

・数字に紐づく数量や個数のイメージが弱い

・四則演算(足す,引く,掛ける,割る)に伴う数量変化がイメージできない

・九九が覚えられない、アナログ時計が読めない

・日常生活の中での数的感覚を鍛えたい(お金管理や買い物など)

 

数字と数量や個数のイメージの結びつきや、四則演算に伴う数量変化のイメージは、算数の土台となる認知過程です。触るグリフでは、数字と数量を表す凸パターンを同時に触れる事で、これらの数字と数量の結びつき・イメージ形成を促します(アナログ時計も自然と読めるようになります)。字形の触覚刺激を認知的な手がかりとして、文字⇔音間の連合記憶形成を促す作用を利用して、九九も効率的に覚える事ができます。触るグリフ「数概念と四則演算シート」をご利用ください。

 

触るグリフの限界(苦手とすること)

 

・注意機能そのものを変化させる効果は無い

・実行機能など計画性自体を促す効果は無い

・全般的知能そのものを向上させる効果は無い

 

触るグリフは「見ながら触れて音読する」触覚を介した多感覚統合で、読み書きの背景となる認知過程の問題を解決する教材です。その一方で、注意の問題や、頭の中での計画性(実行機能)を向上させる効果はありません。もちろん、触るグリフを実施することで、WISKなどの全般性知能検査のスコアが向上することも報告されていません。その点をご理解ください。

ただし、ディスレクシア(発達性読み書き障害)は、読み書きに関する音韻や視覚認知の弱さに加えて、ADHDなどの特性も併せ持つ場合が多いです。その場合の触るグリフは、読み書きの背景となる中核の認知過程に影響を及ぼすとご理解ください。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加