さとみんさん(女性:20代)算数障害と共に歩む日々:理解とサポートを求めて

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「大人のLD体験談」第五回目は、算数障害の困りごとと、軽度知的障害を持ちながらB方支援所で働くさとみんさん(20代)です。いじめや不登校などの様々な困難を乗り越えて、自分の特性と向き合う方法や、働く上での困りごとについて教えていただきました。インタビュアー:Ledesone テン

 

現在のお仕事について教えてください
現在はB型事業所に通っています。週に3回ほど、パソコンを使った作業を行っています。具体的には、データ入力や簡単な事務作業を担当しており、またネットオークションの管理も少し手伝っています。こうした仕事を通じて、自分のペースで作業を進めることができ、助かっています。

ただ、算数障害の影響で、数字に関する作業には苦労することもありますが、サポートがあるおかげで何とか対応しています。

 

LDの困りごとについて教えてください
LDの診断はないものの、似たような困りごとがあり、特に算数障害の困りごとがあります。算数に関してはかなり苦手で、特に算数障害の症状が顕著に現れています。日常生活や仕事の中で、数字や計算に関する困りごとが多く、困難を感じています。

 

これについては、今後もサポートや工夫が必要だと考えています。軽度知的の診断を受けているため、算数だけでなく、全体的に学習や理解においても困難を感じることが多いです。

 

療育手帳も持っており、そのことが私のサポートや支援に役立っています。特に、社会生活や仕事においては、こうした支援が重要だと感じています。

 

算数障害のような困りごとが出始めたきっかけやタイミングなどはありますか?

算数に関しての困難は、非常に早い段階から感じていました。小学校の頃から、算数の授業についていけないことが多く、掛け算の九九ができなかったことを覚えています。

 

算数が苦手だと自覚したのは、小学校の算数からでした。塾にも通いましたが、理解が進まないままでした。今でもその影響が続いており、特に数字の計算や処理が苦手です。

また、数字を書くことにも苦労しており、例えば「8」を書くのが難しいことがあります。このような困難は、長い間続いており、解決策を見つけるのが難しい状態です。

数字自体は読めますが、大きな数字になると混乱することがあります。例えば、1000や1万といった桁数が多い数字は、しばしば間違えることがあります。バラバラの数字が並んでいる場合は、比較的読みやすいのですが、桁数がまとまった数字になると混同することが多いです。

 

具体的には、桁数が多い数字が読みにくい場合、例えば1000と1万といった数字が混同することがあるという感じでしょうか?

はい、まさにその通りです。1万と記載すべきところに1000と書いてしまうことがよくあります。また、数字がバラバラの状態であれば読めることもありますが、本来の数値と合わないことが多いです。こうした困難が日常生活や仕事にも影響を与えています。

 

その後、知的障害の診断を受けたのは社会人になってからで、療育手帳を取得したのも最近ということですが、学生時代からの診断ではなく、社会人になってからの診断ということでよろしいでしょうか?

はい、社会人になってから診断を受けることになりました。一般就職してからつまずくことが多く、医師の診断で軽度知的障害とわかりました。それに伴い、最近、療育手帳を取得しました。学生時代からの診断ではなく、社会人になってからの診断であるというのが実情です。

 

 

 

算数や数学の中で、例えば図形の問題が得意だったり、苦手だったりすることはありましたか?

図形の問題も苦手でした。図形に関してはどこから解決すればいいのか分からず、理解できなかったです。ただ、因数分解のような問題は比較的得意でした。

 

例えば、xの2乗などで数字を求める問題はできましたが、図形の問題はほとんどできませんでした。図形の問題は本当に難しくて、どうやって解決するかが分からず、説明を受けても理解できなかったです。

 

算数や数学以外で、特に苦手だったものや得意だったものはありますか?
理科は苦手でしたが、社会の授業は小学校の頃は好きでした。

技術やパソコンに関する授業は得意でした。ただ、中学校や高校に進むと社会の内容が難しくなり、特に歴史や現代社会が混ざってくると分かりづらくなりました。地理も苦手で、都道府県の名前を覚えるのが難しかったです。

 

社会の中でも歴史は得意だったけれど、地理が苦手だったということですね。
はい、その通りです。歴史は得意でしたが、地理や都道府県の名前を覚えるのは難しかったです。

 

理科に関しては、科学式や計算が苦手で、覚える系の内容は得意だったということがありますか?
はい、理科の計算や科学式は苦手でしたが、覚えること自体は得意でした。暗記系の内容には問題なく対応できましたが、計算が必要な部分は困難でした。

 

勉強の部分で、工夫していたことがあれば教えてください。
黒板に書かれたことをノートにひたすら書き写したり、先生が言ったことをメモしたりしていました。重要な点を聞き逃さないようにすることを心がけていました。メモを取ることには力を入れていましたが、理解するのが難しく、メモ取りに必死になっていました。

 

ありがとうございます。高校の進学についてはどのようにされましたか?
中学校が不登校だった時期があったため、出席日数が足りる学校を探すのが難しかったです。中学校の先生と一緒に探し、適切な学校を見つけました。受験の際には、筆記試験と面接がありました。面接では、自分が高校で何をしたいのかを話す機会がありました。

 

受験は筆記試験と面接があったのですね?
はい、筆記試験では国語や数学などの一般的な科目が出題されました。5教科すべてに取り組む必要がありました。
幼少期について教えてください

幼少期については、家庭環境にあまり良い印象がなく、例えば、夫婦喧嘩が多かったこともありました。小学5年生の時に両親が離婚し、その影響で記憶が曖昧な部分もあります。

 

時々、何かのきっかけで思い出すこともあります。好きだったことや得意なこととしては、パソコンがありました。小学校2年生の時にパソコンを触り始め、タイピング練習のソフトを使っていました。親からパソコンを買ってもらい、それがきっかけでパソコンに触れる機会が増えました。
パソコンが得意だったので、同級生の中でもパソコンの使い方に自信がありました。

 

高校卒業後の進路についてはどうなりましたか?
専門学校に2年間通いました。鉄道に興味があったので、鉄道関連の専門学校に進学しました。
学校では数学に困りました。運賃計算や距離計算など、たくさんの数字が出てくるため、つまずくことが多かったです。単位取得も難しく、ギリギリで卒業しました。パソコンを使って計算できるけれど、暗算や電卓なしでの計算が苦手です。

 

専門学校卒業後の職歴について教えてください。

専門学校卒業後、九州の大手鉄道会社で契約社員として働きましたが、研修段階で6人中6位の成績で、計算や業務の難しさからつらい思いをしました。

業務については切符の種類を覚えたり、運賃計算をしたり、時刻表の見方を学ぶ業務がありました。特に計算が難しく、プレッシャーが大きかったです。

切符の種類を覚えることは楽しかったですが、計算業務はプレッシャーが大きく、胃が痛くなることもありました。その大手鉄道会社では、約1年働きました。

 

その後、どのような経緯で別の仕事を探すことになりましたか?
メンタル的に疲れてしまい、その後は就労支援を受けながら転職活動をしましたが、なかなかうまくいかず、A型作業所やB型作業所を試してみました。

 

現在はB型作業所での勤務ですね。その中で困っていることや工夫していることはありますか?
オークションの出品作業で、数字の桁や計算が苦手でプレッシャーを感じることがありますが、パソコンを使った作業全般は自分に合っており、自信を持っています。商品撮影から発送まで一連の作業を任せてもらうことにやりがいを感じています。

 

日常生活で困ることや求める配慮はありますか?

料理での分量の測定や計算が難しく、調味料の分量などを正確に計るのが困難です。即席の料理の方が安心して作れます。また、バスや電車の料金計算や時間の見積もりも苦手で、事前に調べてメモを取ることで対策しています。

 

生活の中で他に困ることや工夫していることはありますか?

例えば、時間の感覚が他の人と違うと感じることがあります。バスや電車の到着時刻を計画する際には、時間に余裕を持って行動することが多いです。スマホのアプリを使って、移動時間やスケジュールを管理しています。

 

現在よく使っているアプリやツールはありますか?

GoogleマップやYahoo!乗り換え案内をよく使っています。これらのアプリで移動時間やバスの到着時刻を確認し、計画的に行動しています。また、iPhoneのカレンダーアプリに予定や出発時間を記入して管理しています。

 

「こういうアプリがあればいいな」とか、「こういうツールがあったらいいな」と思うことはありますか?
そうですね、消費税や割引の計算が苦手で、例えば8%や10%になると全くわからなくなってしまいます。税抜き表示のスーパーで迷うこともあったので、消費税や割引の計算を一緒にしてくれるツールがあれば非常に助かりますね。

 

今まで出会って良かった人や、自分を理解してくれた人について教えてください。仕事に繋がった人や、サポートをしてくれた人などがいればお聞かせください。

そうですね、旦那さんが良い例です。以前は、算数ができないことで「こんなこともわからないの?」と言われることが多く、それが原因で喧嘩になったり別れることもありました。でも、今の旦那さんは一からゆっくりと優しく教えてくれるので、本当に出会えて良かったと思っています。触るグリフを見つけてくれたのも旦那さんです。

 

もしよければ、触るグリフをどのように活用しているのかお聞かせいただけますか?

現在は一旦触るグリフから離れていますが、初めて会ったときは使い方がわからなくて、それを学ぶきっかけになったのは大きかったです。テキストだけでなく、手で触れることで数字に対する苦手意識が和らぎました。触れることで数字に対する感覚が良くなったと思います。

 

最後に、LDや算数障害を持つ子供たちに向けてメッセージがあればお願いします。
いろいろな便利なツールがあるので、それを活用してほしいと思いますし、より広まることを応援しています。また、勉強だけでなく体力をつけることも自信を持つためには大切だと思います。

 

最後に、今回のインタビューで言い足りないことや伝えたいことがあれば教えてください。
そうですね、数字や測定が苦手な点もあります。例えば、荷物を送るときのサイズ測定が非常に難しいです。特に奥行きを測るのが苦手で、サイズや金額でプレッシャーを感じることが多いです。その点が自分にとって大変ですね。

 

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