ディスレクシア・ディスグラフィアの「聴覚」と「触覚」を組み合わせた漢字学習法について
何度も手で書いても、漢字がなかなか覚えられない人は多いのではないでしょうか。こちらではミチムラ式と触るグリフを組み合わせた学習方法をご紹介します。聴覚と触覚という異なる感覚モダリティを介した学習法を組み合わせる事で、漢字の「記憶痕跡」を強く形成することができます。
聴覚口唱法
ミチムラ式のような漢字の成り立ちを唱えて覚える方法には一定のエビデンスがあります。特に聴覚性言語記憶が保たれている児童に効果が高く、音声言語を介した意味的な繋がりで記憶を補強することができます。⇒ミチムラ式漢字カード、ミチムラ式 eBOOK はこちら
触覚‐視覚学習による視覚性記憶の増強効果
高さ0.5mm以上、凸部逆椀型に立体化した図形を指面で触れる事で、視覚性記憶が増強されることも分かっています。こちらも視覚的に文字や図形を覚えるのが苦手な児童(大人)に対して有効で、手で触れて具体的に確かめる事で視覚イメージの脆さを補強することができます。(視覚と触覚を用いた多感覚学習によるRey-Osterrieth複雑図形検査の視覚性記憶促進作用について)
⇒触るグリフの漢字教材【小学1年生版シート (1年の漢字),標準版シート(1年、2年の漢字)、2年~3年の漢字シート、3年~4年の漢字シート、4年の漢字シート、5年~6年の漢字シート】
実施方法
①漢字の意味と読み方を声に出して確かめる
まず、触るグリフの漢字の横にミチムラ式カード(裏)を置いて、「意味と読み方」を確認してください。声に出して読み上げてみましょう。
②漢字の全体像を触れて確かめる
実際に触るグリフの漢字に触れてみましょう。大まかに漢字のカタチを確認してください。「強」という漢字はこういう形なのだなと外形輪郭がつかめればオッケーです。
③漢字の部首を唱えながら、成り立ちを確かめる
ミチムラ式漢字カード(表)には漢字の部首と読み方が書いています。漢字の部首を見て確かめながら「ゆみへん、ム、むし」と成り立ちを唱えてみましょう。
④漢字の部首を唱えながら、部分パーツに触れて確かめる(最重要☆)
もっとも大切な部分になります。部首を唱えながら、実際に触るグリフの「部首」を手で触れて確かめてみましょう。「ゆみへん、ム、むし」と唱えながら、漢字部首の「弓、ム、虫」の部分を手で触れていきましょう。こちらも指先ではなくて「指の腹」で触れてください。
2回~3回ほど、部首を唱えて触れてみてください。最後の1回は部首のカタチが思い浮かぶか確かめるために、目を閉じて触れても良いかもしれません。
最後に指文字(空書)で2回~3回ほど書いてみる
最後に、指文字(空書)で2回ほど書いてみましょう。実際に手を動かす事で、漢字の書くイメージが形成されます。
もちろん、指文字でなくても紙とペンで書いてもかまいません。
ミチムラ式 e BooKを利用する方法
漢字カードと同じ触るグリフと組み合わせた学習法は、ミチムラ式 eBOOK でも可能です。漢字の意味と読み方、漢字の成り立ち、などがクリック一つで自動再生してくれますので、漢字絵カードよりも学習しやすいかもしれません。ただし漢字絵カードは漢字(触るグリフ)の横に並べて使えるなど、シンプルな手軽さもあると感じました。
漢字学習法(まとめ)
ミチムラ式と触るグリフを組み合わせた学習法では、「部首パーツの成り立ちとして、意味的繋がりで漢字が覚えられる」、「実際に部首パーツと漢字全体に触れる事で、漢字のカタチの記憶を増強形成できる」、「最後に手で書く事で運動イメージに紐づけることが出来る」、という複数の感覚モダリティを組み合わせた記憶の多重符号化を介して、記憶痕跡を強める事が出来ます。是非、試してみてください。