ディスレクシアの早期介入と機能変化について、ChatGPTに聞いてみた。
(宮﨑の質問)
ディスレクシアは早期介入した方が機能変化しますか?
ChatGPT:
ディスレクシアに対する早期介入は、脳の機能的変化や学習能力の向上において非常に重要であると、多くの研究で示されています。以下にその理由と効果を詳しく説明します。
1. 脳の可塑性(脳の適応能力)が高い時期
- 子どもの脳は成長期において非常に可塑性が高く、神経回路が形成されやすいです。
- ディスレクシアの早期介入では、音韻認識や視覚的な処理を強化することで、脳の特定領域(左側の後頭側頭葉や角回)の機能を改善し、読み書き能力を補強できる可能性があります。
2. 研究結果の裏付け
- 早期の音韻意識トレーニングや文字認識の指導を行うことで、読みのスキルが大幅に向上することが報告されています(例:Torgesenらの研究)。
- MRI研究では、適切な早期介入を行った場合、通常ディスレクシアで機能が低下している脳領域の活動が改善することが確認されています。
※(宮﨑)少し古いですが、代表的なものに、以下の研究があります。
6-9歳の77名の児童を対象に,音と文字の対応関係の正確さと流暢性を指標にした8 ヶ月の早期集中的な指導を行った場合、左の後頭-側頭領域 や,読みに際して活動を示す左の下前頭回 のブローカ野の文字を音韻に変換することに関与する頭頂-側頭領域の賦活を示した。これは定型発達児が読みの際に示すのと同様の賦活パターンであった。また,右の側頭回内側部 と右の尾状核 の賦活が,介入指導後には見られなくなっていた。
3. 学習困難の二次的影響を防ぐ
- 読み書きが困難であると、学業の遅れだけでなく、自信喪失や学習意欲の低下、場合によっては心理的な問題(不安や自己評価の低下)を引き起こす可能性があります。
- 早期に介入することで、これらの二次的な問題を未然に防ぐことができます。
※(宮﨑)読み書きLDの「読み書き負担」⇒「語彙不足」⇒「学業不振」⇒「自己肯定感や意欲低下」⇒「不登校」の流れは、我が国でも知られています。これも、非常に正確な回答です。
4. 早期介入の具体的な効果
- 音韻認識(phonological awareness)の向上:音の区別や音素操作の能力が改善される。
- 文字と音の対応関係の理解:文字認識や書き取りのスキルが向上。
- 自動化能力の促進:繰り返しのトレーニングで読む速度が上がる。
- 脳の適応的変化:神経ネットワークの再構築が観察される。
(宮﨑)これは、日本語圏だとT式の解読訓練⇒語彙訓練に相当します。触るグリフは、触知覚のアシストを受けた解読訓練⇒語彙訓練なので、あてはまると思います。 英語圏の場合は、文字とスペルの対応関係から学ぶフォニックスですね。
5. 具体的な介入方法
以下のような方法が早期介入に効果的です:
- 音韻トレーニング:音と文字の結びつきを強化する教材(例:多感覚アプローチ)。
- ハプテック(触覚を用いた学習):触読を活用した方法で感覚入力を補完。
- 個別化された教育プログラム:各子どもの特徴に合わせた指導。
(宮﨑)これは、触るグリフ含む、マルチセンソリーメソッドにあたります。特に英語圏の場合だと、アルファベットの形態、スペルの形態と読みの繋がりを、粘土やブロックの触知覚フィードバックを介して学びます。視覚表象(並列)と、音韻表象(連続)は、情報の質的な距離が大きいので、その両方の性質を持つ触知覚を媒介させて、多感覚統合を促進させます。
6. 遅れた場合の影響
- 早期介入がない場合、脳の特定領域の機能が十分に補われないまま、代償的な方法(右脳の過剰活用など)が働くため、読む速度や正確さに長期的な課題が残ることがあります。
(宮﨑)大人のディスレクシアの読み書き障害の改善変化を調べた研究報告は少ないですが、こちらの2004年に発表された論文があります。【Neural Changes following Remediation in Adult Developmental Dyslexia(成人の発達性読み書き障害のトレーニング後の変化)】
音韻をターゲットにしたトレーニングにより、非トレーニング群と比較して音韻操作のパフォーマンスが向上しました。これらの向上は両側頭頂葉および右頭頂葉周囲皮質における信号増加と関連していました。定型者に近い脳活動のパターンでの改善と、代償的な脳活動パターンによる改善の2つの組み合わせとして、読みのパフォーマンスが改善したようです。
結論
ディスレクシアへの早期介入は、脳の発達における重要な時期を活かし、読み書き能力を向上させるだけでなく、二次的な心理的・社会的な影響を防ぐためにも非常に効果的です。そのため、気になる症状が見られた場合は、早期に専門家の支援を受けることが推奨されます。
(宮﨑)必ずしも、全ての児童が早期介入で機能変化するわけではないですが、遅いより早期の方が利点が大きいというのは、私も同意します。
AIが回答した脳の可塑性と臨界期の問題を除外して考えたとしても、①中学生などになると、読み書きの土台となる基本文字の介入が困難になること(本人のモチベーション)、②学業意欲や自己肯定感の低下などが生じてしまう事、の①②があると感じます。
さらに、臨床での雑感ですが、脳の可塑性の観点からも、特に文字と音の結びつき(デコーディング)に関する連合記憶形成は、早期介入での変化余地と持続性が高いと感じます。(一方で、読みの自動化自体は、成人になっても変化します)