仮名が定着しにくい児童(未就学児含む)に対する仮名文字を記憶定着させる実施方法

就学前のお子さんの中には、年長さんの時期になっても「文字にあまり興味を示さない「平仮名を見てもすぐに読めないカタカナは全く覚えていないといったケースのご相談を多く受けます。

自治体などの相談窓口では「個人差がありますから、もう少し様子を見ましょう」と言われることも多いですが、小学校ではすでに文字を読めることを前提に授業が進みます。保護者の方が不安に感じるのも自然なことです。

読み書きLD(学習障害)の特性をもつお子さんの中には、文字と音が自然に結びつきにくく、平仮名やカタカナの習得に時間がかかるケースがあります。この「文字と音の結びつき」が弱いと、文字を見ても音が浮かびにくく、興味も持ちにくくなります。

「触るグリフ」は、触覚(さわる感覚)を使って文字を定着させることを目的とした教材です。ここでは、かな文字をまだ十分に定着させていない、お子さんに向けた、家庭でできる練習方法を紹介します。

教材としては「小学1年生版の仮名と漢字と短文シートになります。

 

立体50音表を使って文字と音を結びつける(2~3カ月間)

 

 

まだ仮名が十分に定着していないお子さんは、まず「文字の形」と「音」を結びつけることから始めましょう。1日50文字を目安に、以下解説する①+②の手順で進めます。余裕が出てきたら③も試してみてください。

①子供が触れた文字を、保護者の方が読み上げる

②子供が自分で見ながら触れて音読してみる(保護者の方も一緒に読んでOK)

③、①②で仮名が読めるようになってきたら、③1日1回だけ手で書いてみる

※「平仮名」がある程度、定着してくたら「カタカナ」も1日ごとに交互に実施してください

※触るグリフの触れ方は「指の腹」で文字のカタチを確かめて音読します。ゆっくり触れていたら細かい点はさほど気にする必要がありません。

※ 慣れてきたら、濁音、特殊音節、仮名単語も実施してみてください。

実施期間は、2カ月~3カ月を目安にして平仮名とカタカナの50音がスラスラ読める、書くことが出来るようになるまで、行ってください。

 

① 子どもが触れた文字を、保護者が読み上げる

最初は、50音表を「お子さんが触れた文字を保護者が読む」練習から始めます。
お子さんが指の腹で「あ・い・う・え・お」と、ゆっくりと、1文字ずつ触れるたびに、保護者の方が「“あ”、“い”、“う”……」と1~2秒ごとのペースで読み上げます。

コツは、触れた瞬間に音が鳴るようなテンポを意識することです。
文字の形の触覚刺激に合わせて音を聞くことでこの形がこの音なんだ」と自然に感じられるようになります。

 

② 子どもが自分で「見ながら・触って・音読」する

①の練習を経たら、いよいよ**②「自分で見ながら・触って・声に出して読む」**段階です。
これが「触るグリフ」の基本的な学習スタイルです。

仮名がまだ定着していないお子さんでも、①で形と音の結びつきを体験してから②を行うことで、スムーズに「見て・触って・読む」流れに入れます。

お子さんが自ら音読するのに、合わせて、保護者の方も一緒に音読してもかまいません。「自ら触れて音読する」+「外からも音が入る」という2つの入力経路から、より強く文字と音の結びつきが促されます。

1回だけ手で書いてみる学習(書字運動イメージの形成)

①②の方法で、平仮名50音、カタカナ50音の触るグリフに慣れてきたら、今度は「平仮名」「カタカナ」で日を分けて、触るグリフ実施後に1回だけ書いてみましょう。

書き取りシートは平仮名50音表シート」「カタカナ50音表シート

からダウンロードして印刷してください。

 

(1日目)触るグリフ(平仮名50音:①②+余裕があれば濁音、特殊音節)

⇒平仮名50音シート(1回だけ声に出して書く)

(2日目)触るグリフ(カタカナ50音:①②+余裕があれば濁音、特殊音節)

⇒カタカナ50音シート(1回だけ声に出して書く)

※ご本人が書きながら読み上げる事が苦手な場合は、保護者の方が書くと同時に読み上げてください。本人と一緒に声に出して書いても問題ありません。

※「平仮名」「カタカナ」は1日ごとに交互に繰り返してください。文字ごとに日を分けることで混乱しにくくなります。

手を動かして書くに合わせて、声に出して音読することで、音を重ねるのがコツです。触るグリフによる「文字形態記憶」「文字と音の連合記憶」のイメージが形成された後で、さらに声に出しながら、手を動かして書く事で、より書字運動イメージが強まります。

 

濁音、特殊音節について

濁音(が、ご、じ、ざ)や特殊音節(りゃ、ぴゃ、じょ)などは、仮名50音が慣れてきたら並行して行ってください。今日は「平仮名(50音+濁音+特殊音節)」「カタカナ(50音+濁音+特殊音節)」など、仮名の種類ごとに日を分けて実施すると、学習内容が混乱しなくて良いかもしれません。

 

仮名単語について

仮名文字に慣れてきたら、仮名単語に進んでも問題ありません。

特にカタカナは、単語の文字列でイメージを作るところもありますので「平仮名」「カタカナ」で日を分けて、仮名単語だけ実施する日を作るなど、取り入れてみてください。

3)学習法1、2終了後の仮名単語と漢字学習について


ミチムラ式と触るグリフを組み合わせた漢字学習 動画を再生する

 

学習法1と、学習法2で、ある程度は、仮名が定着したら、次は、通常の触るグリフの実施方法に合わせて、仮名単語、仮名短文へと進んでください。仮名単語は、学習法1、2と並行して実施しても問題ありません。

漢字については、ある程度は、カタカナが定着してから取り組む事を推奨しています。

漢字の基本パーツはカタカナ文字であり、カタカナを定着させてから取り組んだ方が効率的だからです。

漢字の実施方法は、1日数個ずつなど、部分パーツを唱えながら、触れて覚える方法を推奨しています。聴覚+触覚の2つの感覚を利用して、より強く文字の記憶イメージが形成できます。併用する聴覚法の教材としては「ミチムラ式漢字カード」「小学全漢字おぼえるカード(学研)」などを推奨しています。

 

 

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