【ディスレクシア】逐次読みとは?原因・特徴・支援方法をわかりやすく解説

【記事執筆者】

株式会社 宮﨑言語療法室   言語聴覚士 宮崎圭佑

学習障害(ディスレクシア,算数障害) への触覚学習利用を専門としています。【経歴】京都大学大学院 人間健康科学系専攻 脳機能リハビリテーション科学分野卒業,医療機関,京都大学医学部付属病院 精神科診療部を経て宮﨑言語療法室(株)を開業 


 

ディスレクシア(発達性読み書き障害)のある子どもでは、
**「逐次読み(ちくじよみ)」**と呼ばれる読み方が見られることがあります。

逐次読みとは、文字を一つずつ順番に処理して読む読み方です。

例えば、通常の読者は単語を一瞬で認識できますが、
逐次読みでは次のような読み方になります。

さ → く → ら → 「さくら」

このように、文字を一つずつ処理するため読む速度が遅くなるという特徴があります。

この記事では

  • 逐次読みとは何か

  • ディスレクシアとの関係

  • 逐次読みの原因

  • 日本語での特徴

  • 支援方法

について、専門的な知見をもとに分かりやすく解説します。

逐次読みとは

逐次読み(sequential reading / letter-by-letter reading)とは、
単語を文字単位で順番に処理して読む読み方
です。

通常の読者は単語を「まとまり」として認識します。

例えば

学校
友達
information

などの単語は、視覚パターンとして瞬時に認識されています。

一方、逐次読みでは

文字 → 音 → 単語

という順番で処理します。

そのため

  • 読む速度が遅い

  • 長い単語ほど読みにくい

という特徴が見られます。

逐次読みの実例

【読みの問題】

44歳ディスレクシア男性 動画を再生する

【動画】44歳ディスレクシアの男性(工務店経営者)の方です。最初は1文字ずつ確かめる読み方(逐次読み)である事がわかると思います、

逐次読みの原因

通常は文字を見ると「読み方(音)」と単語(綴り)のイメージが頭の中で浮かびます。しかしディスレクシアはこのイメージ表象を苦手としています。

ディスレクシアのある子どもでは、
逐次読みが見られることが多いと報告されています。

その理由は、主に次の3つです。

1 音韻処理の弱さ

ディスレクシアでは

文字と音の対応(音韻処理)

が弱いことがあります。

例えば

か → /ka/
き → /ki/

といった変換が自動化されていない場合、

文字→音→単語

という処理に時間がかかります。

その結果、一文字ずつ読む逐次読みになります。

2 単語の視覚認識の弱さ

熟達した読者は、単語を視覚的な形として記憶しています。

例えば

「学校」

という単語を見ると、
文字を一つずつ読まなくても意味が分かります。

これは

視覚単語認識(orthographic word recognition)

と呼ばれる能力です。

しかしディスレクシアでは、この認識が弱い場合があります。

そのため毎回

文字 → 音

の処理を行う必要があります。

3 高速呼称(RAN)の遅さ

ディスレクシア研究では

RAN(Rapid Automatized Naming)

という能力が重要視されています。

RANとは

  • 文字

  • 数字

  • 物体

などを素早く名前で呼ぶ能力です。

この能力が弱いと

  • 読みの自動化が起こりにくい

  • 逐次読みが続きやすい

とされています。

逐次読みの特徴

逐次読みが見られる子どもには、次のような特徴があります。

  • 読む速度が遅い

  • 長い単語ほど読みにくい

  • 文になると理解が難しくなる

  • 音読に時間がかかる

  • 読みながら意味を忘れてしまう

例えば

「昨日、学校で友達と遊びました」

という文でも、

き の う

が っ こ う

というように、一文字ずつ処理して読むことがあります。

日本語における逐次読みの特徴

日本語では、文字体系によって読み方の特徴が異なります。

ひらがな

ひらがなは音に対応する文字のため、
逐次読みになりやすいと言われています。

 

漢字

漢字は意味単位の文字なので、
単語全体として認識できる場合があります。

例えば

学校
図書館
先生

などは、形として覚えやすいことがあります。

逐次読みへの支援方法

逐次読みが見られる場合、いくつかの学習方法が有効とされています。

多感覚学習

視覚だけでなく

  • 触覚

  • 聴覚

  • 運動

を組み合わせる学習です。

海外では

  • Orton-Gillingham

  • Wilson Reading System

などが知られています。

視覚単語の強化

頻出単語を

瞬時に認識できるようにする訓練

も有効です。

読みの自動化トレーニング

RAN(高速呼称)などの

読みの自動化トレーニング

も効果があるとされています。

まとめ

ディスレクシアにおける逐次読みは

文字を一つずつ処理して読む読み方

であり、

  • 音韻処理の弱さ

  • 視覚単語認識の弱さ

  • 読みの自動化の遅れ

などが関係しています。

逐次読みは、適切な学習支援によって改善が期待できます。

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