学習のつまずき・ディスレクシア・不登校の背景を整理する
なぜ「早期発見」が必要なのか
学習上のつまずき、とくに読み書きに強い負担を抱える子どもは、
学年が上がるにつれて困り感が自然に解消されるわけではありませ
むしろ、学習量やスピード、
内側の負担は徐々に強くなっていくことが少なくありません。
しかし一方で、
学年が上がるほど、困りごとは「隠されやすくなる」
低学年のうちは、
- 読むのがゆっくり
- 書くのに時間がかかる
といった様子が比較的分かりやすく、
ところが学年が上がるにつれて、子どもは次第に
- できないことを隠そうとする
- 分からなくても質問しなくなる
- 周囲に合わせようとして無理をする
といった行動をとるようになります。
これは怠けや意欲の低下ではなく、
「できないと思われたくない」「周りに迷惑をかけたくない」
という適応の結果であることが多いのです。
そのため、
困り感は強くなっているのに、
表面上は何とかできているように見える
という状態が生じやすくなります。
「勉強が苦手なだけ」と受け取られやすいことが、 早期発見を妨げる
読み書きに困難を抱える子どもは、
- 会話の理解は良い
- 知的な遅れがあるようには見えない
- 日常生活では特に問題がない
といった特徴をもつことが少なくありません。
そのため周囲からは、
- 勉強が苦手なだけ
- 不器用なタイプ
- 努力すれば伸びる子
と受け取られやすく、
「ディスレクシアかもしれない」という視点自体が持たれにくい
という現実があります。
このことが、結果として
支援や専門的な評価のタイミングを遅らせる要因になります。
読み書きの困難は、慢性的な「疲れ」を生みやすい
読み書きに負担のある子どもは、授業中、
- 文字を読む
- 書き写す
- 内容を理解する
といった処理に、常に多くの認知的エネルギーを使っています。
その結果、
- 学校から帰るとぐったりしている
- 宿題に取りかかれない
- 朝になると体調不良を訴える
など、疲労が行動や身体症状として現れることがあります。
この段階では、本人自身も
「なぜこんなにしんどいのか」をうまく説明できないことが多く、
周囲からは「やる気がない」「甘えている」
不登校とディスレクシアの関連について
近年の研究では、
ディスレクシアなどの読み書きの困難をもつ子どもは、
- 学業上の失敗体験を重ねやすい
- 自己効力感が低下しやすい
- 不安や抑うつ傾向を示しやすい
ことが報告されています。
これらの状態が長期間続くと、
- 登校しぶり
- 心身の不調
- 不登校
といった形で表面化するリスクが高まることが示唆されています。
重要なのは、
「読み書きが苦手だから不登校になる」のではないという点です。
多くの場合、
分かってもらえない状態で頑張り続けた結果、
心と体が先に限界を迎えてしまう
という経過をたどっています。
早期発見の本当の意味
早期発見とは、
- 早く訓練を始めること
- 問題を早く解決すること
ではありません。
「この子は、どこで、どれだけ力を使っているのか」
「どんなやり方が負担になっているのか」
を専門的に整理するための出発点です。
早く気づくことで、
- 不必要な努力を減らす
- 合わない学び方を見直す
- 自己否定感が固定化するのを防ぐ
- 力尽きる前に立ち止まる
といった選択肢を持つことができます。
宮崎言語療法室の考え方
宮崎言語療法室では、
- 困りごとを「直す」こと
- 一律の方法で「できるようにする」こと
を目的としていません。
なぜしんどくなっているのか
どこで無理が生じているのか
を専門的に整理し、
その子に合った学び方や関わり方を一緒に考えることを大切にして
まとめ
ディスレクシアを含む学習上の困難は、
「勉強が苦手なだけ」に見えることで、
早期発見が遅れやすい特性があります。
しかし、困りごとが小さいうちに気づくことは、
子どもを変えるためではなく、
子どもが力尽きてしまう前に守るための支援につながります。
「行けなくなってから」ではなく、
「しんどくなり始めたところ」で立ち止まれること。
それが、その後の学びや自己肯定感を大きく左右します。


