レイの複雑図形検査(Rey-Osterrieth Complex Figure Test:ROCFT)とは何か?

ROCFTは、視空間認知構成力視覚記憶計画性を測る心理検査です。

  • 模写(Copy)→ 視覚的・構成的処理
  • 即時再生(Immediate Recall)→ 視覚記憶の保持
  • 遅延再生(Delayed Recall)→ 記憶の長期保持と統合
    というプロセスで評価されます。
    このテストは視覚性情報処理能力を総合的に捉えるために広く用いられてきました。J-STAGE

ポイント:

  • 視覚性記憶のテストとして普遍的に使われること
  • 再生成績は年齢や記憶保持能力によって変動することが報告されています。医書ジェーピー

    何が測れて、どんな過程が関与しているか

    ROCFTの再生(記憶)や構成方略(描き方の工夫)は、

    • 視覚的情報の符号化
    • 注意・計画性
    • 再生時の記憶検索
      など複数の認知過程を反映します。
      これらは単なる「丸覚え」ではなく、どのように情報を取り込んで再現するかという**戦略(方略)**も含まれます。J-STAGE

     多感覚(視覚+触覚)学習の効果:触るグリフとの関係

    最近の研究で、視覚情報だけでなく触覚(ハプティック情報)を組み合わせた学習が
    ROCFTの再生成績に影響を与える可能性が示され始めています

    →具体的な研究例(2023年)
    視覚と触覚を用いた多感覚学習によるROCFTの視覚性記憶促進作用
    という研究では、次のような実験デザインを用いました:

    2群の比較

    • Vision-Haptic群(視覚+触覚):図形を見ながら「触れる」立体模型で再学習
    • Vision群(視覚のみ):通常の視覚的再学習

    実験では、

    • 初回再生後に再学習
    • 24時間後に再度再生テスト
      を行いました。
      その結果、視覚+触覚群の方が再生得点の向上が大きかったことが示されています。J-STAGE+1

    ※この研究は、触覚を含めた多感覚学習がROCFTの視覚性記憶に促進効果を持つ可能性を示したものです。
    ※この研究は直後再生/翌日の記憶スコアに対する「学習効果」を扱っており、
    触るグリフの介入効果の実証的根拠として引用可能です。J-STAGE

    触覚介入が有効な理由(理論的背景)

    多感覚統合による強化

    • 一つの感覚モダリティ(視覚)だけではなく、視覚+触覚という二重の手がかりがあると、
      情報の**符号化(エンコーディング)想起(リトリーバル)**が強化される可能性があります。
    • このような知見は心理学のモダリティ効果や多感覚統合に関する理論と一致します(視覚+別の感覚刺激は記憶を強化しうる)。CiNii